園には、「ゾーン」という、子どもたちが自分でやりたいことに熱中する場所が用意されています。
3・4・5歳児保育室には「積み木ゾーン」や「絵本ゾーン」、「科学ゾーン」、「ごっこ遊びゾーン」など10以上の遊びのゾーンがあり、その中から子どもが自分で遊びたい場所を選択します。0・1・2歳児クラスでも、子どもが自発的、意欲的に関われるような環境になっています。子どもが何かに夢中になって遊ぶことは、脳にも良い影響があると言われています。保育者は、「教える・面倒を見る」という立場ではなく、「子どもの興味や意欲を引き出す」というスタンスで保育に当たっています。
私たちは普段から、子どもを年齢や月齢で見るのではなく、子ども一人ひとりの特性や発達段階に応じた保育を心がけています。
例えば、3・4・5歳児クラスでハサミを使った季節の制作をする際は、年齢ごとに行うのではなく、制作の難易度によって「簡単」・「普通」・「難しい」の3つのコースに分かれます。事前に子どもたちにはコースごとの内容を知らせ、子どもが自らコースを選びます。個々の発達段階にあった環境を設定することで、安心して制作が楽しめるようになります。
子どもとかかわる「人」というのは、子どもにとってとても大事な環境のひとつです。子どもは「人」とのかかわりのなかで、言葉やコミュニケーションの方法、規範やルールを学び、次第に社会性を身につけていきます。
子どもにとって学ぶ相手は保育者だけではなく、キッチンの先生やお医者さん、業者さんや職人さん、地域の人たちなど様々です。また、大人だけでなく子ども同士の体験からも様々なことを学びます。色んな人の存在を知り、関わりを通して、子どもたちは自分の住む地域や社会に関心や愛着を持つようになります。
最近の研究では、大人は子どもが求めていないときは後ろでどんと構えておくことが大切だと言われています。ただし、子どもが必要としているときは積極的に関わることが必要だとも言われています。求めていないときは見守り、求めてきたら関わるということを全職員が意識して保育を行っています。子どもが大人に求めてくる時は、必ずしも言葉で伝えてくるとは限りません。あえて悪いことをしてきたり、ふてくされたりする時は子どもの何らかのサインです。大人が必要だというサインを読み取ったら、積極的に関わるようにしています。
さくらの森では、2歳児クラスは年齢別クラスですが、それ以外の0・1歳児クラスと3・4・5歳児クラスは異年齢保育を行っています。
クラス分けの考え方
異年齢保育とは、単に学年やクラスをまたいだグループをつくって活動する、ということではありません。「学び合い」「育ち合う」ためには、生年月日などにこだわらず、それぞれの発達に注目し、そのときの課題を解決するのに、どのような集団が最も適しているのかを考え、構成する必要があります。他にも、5歳児が2歳児以下のクラスで過ごす「お手伝い保育」という取り組みもあります。
「チーム保育」とは、一人の保育者が一つのクラスを保育するのではなく、複数のクラスを複数の保育者で保育する、という考え方で、医療の世界における「チーム医療」の考え方に似ています。
保育者も人間ですから、例えば「ピアノは少し苦手だけど、絵を描くのは得意」など、それぞれに得意なこともあれば苦手なこともあります。それが「チーム保育」によって、苦手なことは補い合い、それぞれの得意分野を最大限に活かすことができると共に、様々な視点で子どもを見ることで、子ども理解にもつながります。子どもの個性だけでなく、保育者の個性も大切にすることで、より良い保育につながると考えています。
「インクルージョン保育」とは、子どもたちはみんな一緒という考え方を基本にするものです。私たちは、普段の保育から子どもを男女、障がい、年齢による刷り込みを持たないように心がけています。
写真は、合奏で使う楽器のオーディションの様子です。当園の生活発表会では、3~5歳児の異年齢で合奏をするのですが、楽器はオーディションで決めます。難しい楽器を使うにはそれだけの練習が必要です。「5歳児=難しい楽器、3歳児=簡単な楽器」ではなく、オーディションまでの子どもたちの取り組む様子を見て、誰が適任かを決めます。
「子どもの権利条約」には、「子どもが自由に意見を表明する権利」が保障されています。さくらの森では、年齢に関わらず「子どもが自分の意志を表明しようとすること」を大切にしています。大人が一方的に決めてしまうのではなく、子どもたちと相談して決めていきます。
「子ども主体」だからといって、「保育者は客体」なのかと言うとそれは違います。保育者も一人の人格をもった人間であり、保育園で共に過ごす主体的な存在です。子どもの好奇心や探究心と付き合うためには、まず保育者が好奇心や探求心を持ち、子どもたちと感動を共有することが大切です。
さくらの森では、保育者にとっても楽しく過ごせる保育園を目標に、子どもたち同様、保育者も幸せであってもらいたいと考えています。
さくらの森では、保育者や子どもたちが輪になって話す時間(サークルタイム)を大切にしています。輪になるとみんなの顔が見えるので、顔を見ながら自分の考えを言ったり人の意見を聞くことができます。
サークルタイムで話す内容はその日によって異なります。(例:「最近どんな遊びが好き?」「今年はどんな野菜を育てる?」など)運動会や発表会などの行事の前も、サークルタイムでの対話をもとに子どもたち中心に準備が進んでいきます。全員の意見が一致しない時も、どうすれば意見が一つにまとまるかを考えることが大切です。保育者が決めるのではなく、「自分たちのことは自分たちで決める」ということを学んでほしいと考えています。
日本では、保育園から大学まで、年齢別の横割りクラスが主流となっています。これは、学校等で教師が子どもに一斉に知識を伝達するのに適していたからで、それがそのまま保育園や幼稚園にも広がっていったからです。
ちなみにこの年齢とは、4月1日時点の子どもの年齢であり、例えば同じ3歳児でも4月生まれと3月生まれの子どもの間には11ヶ月もの差がありますし、逆に4月生まれの4歳児と3月生まれの5歳児との間には1ヶ月以下の開きしかないのです。必ずしも5歳児が「できる子」で、4歳児が「できない子」ではありません。
異年齢保育とは、単に学年やクラスをまたいだグループをつくって活動する、ということではありません。「学び合い」「育ち合う」ためには、生年月日などにこだわらず、それぞれの発達に注目し、そのときの課題を解決するためにどのような集団が最も適しているかを考え、構成しています。
2歳児より週に1回、外国人講師とともに、遊びやゲームを通して生の英語に触れ合います。幼児期から外国の言葉や異文化に触れることで、グローバル化に対応できる人材を育てること目標にしています。
3歳児より週に1回、水泳や器械運動、運動会競技など、各年齢に応じてさまざまな運動を専門講師のもと体験することで、子どもたちの体力を養います。
5歳児を対象に月に1回、科学遊び(STEM教育)を行っています。科学遊びを通して、これからのAI時代を生き抜くために必要な「問題解決能力」を育むことを目標としています。